クリプトアナーキスト(暗号自由主義者)

※山根信二さんのHomepageより⇒http://www-vacia.media.is.tohoku.ac.jp/~s-yamane/
■クリプトアナーキスト(暗号自由主義者)のページ
『Who knows what a Crypto Anarchist is? 』

■はじめに
まず、「Cypherpunk = hacker = 反体制(かっこいい or あぶない)」 という連想はやめましょう。クリプトアナーキズム(いろいろな提唱者がいるが、ここでは「すべての人は強力な暗号を使う権利がある」という主張のことを指す)を反体制とか逸脱行為とか英雄的行為のように見ることは、それらを不良ファッションとみなすのと同じ偏見です。
このページはそのような先入観を晴らす為に、いろいろな情報を集めました。パーソナルコンピューティングの将来を考える時、暗号はファッションどころか重要な意義を持っています。クリプトアナーキズムとは「我々はどのようなネットワーク社会を望むのか」という問いかけをはらんだ真剣な実験なのです。

『クリプトアナーキスト宣言』(Nov.1992)ティモシー C. メイ = Timothy C. May(tcmay@netcom.com)
『サイファーパンク宣言』(Mar.1993)エリック・ヒューズ(@soda.berkeley.edu)=Eric Hughes(eric@remailer.net)
⇒interview@hotwired 『暗号を使って、国を超えたコミュニケーションを確実なものにしようとするサイファーパンクス』
text & interview 福冨忠和 (Oct.1997)

サイファーパンクス(暗号とサイバーパンクをもじっている)という言葉があまりに巧妙な造語なので、イメージは「危なっかしい」「無政府主義者」というあたりから「テロリスト」まで膨らんでしまうのだろうか。さらに暗号の問題---特にその技術面ではなく政治的な側面は複雑で、理解してもらうのが難しい。暗号は米国ではもともと軍事技術として輸出なども規制されていた。それに加えてNSAをはじめとして、通信盗聴が一般的に行われてきた米国では、市民の暗号利用が国家の脅威となると思う施政者もいる。
 しかし、元市民運動家であり、政府への明確なアンチとしてPGPを開発し、結果として政府の暗号輸出規制と戦うことになったフィリップ・ジンマーマンのような、多少ポリティカルな確信犯と、サイファーパンクスとは違う。メンバーの1人であるイアン・ゴールドバーグがRSAの40ビット暗号を3時間で解いて示したように、彼らはプライバシーや自由をロビー活動やゲリラ的な活動によって守ろうとしているのではなくて、あくまで暗号(またはその解読)というテクノロジーによって、直接的に実現させようとしている。
 サイファーパンクスの創始者でありそのマニュフェストに「僕らは政府、企業、またはその他の大きな、顔のない組織が、彼らの慈善から僕らにプライバシーを恵んでくれるのを期待しない」と書いた人物、エリック・ヒューズに東京で会った。

『初心者のためのブックガイド・暗号と社会』