朝日新聞(夕刊・16)『こころの風景』洞口依子「シャボン玉」

加藤周一と同じ紙面に、癌との闘病をしていた洞口依子がエッセイを寄せている。
”・・・後になって写真で見た私の一部。たまごサイズのガン細胞以外はみんな本当に丈夫で健康そうな臓器だった。ぽつんと空虚な悲しみが、割れないシャボン玉みたいに浮かんで舞う。それでもまだ、自分の中から失われたものが何か、手触りはなかった。・・”