日枝久民放連会長・CMスキップ機能は著作権法違反?

※誰がこういう恥ずかしいことを言わせているのか。。。?
『CMカット機能「著作権法違反も」日枝・民放連会長』(asahi.com/朝日新聞
『民放連会長定例会見』(2004/11/12)

■(抜粋)■
2.NHKの商業化・肥大化問題への対応について

記者: 10月4日の総務省「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」のヒアリングに民放連が臨み、NHKの問題について話しているが、これについて改めて聞きたい。
日枝会長: 先日の民放大会で述べたことに尽きるが、日本の放送は、NHKと民間放送が併存体制の中で、お互いにバランスを取りながら切磋琢磨し、共存共栄を図ってきた。これにより世界でも冠たる放送先進国になったと言える。オリンピック放送やデジタル放送でも、両者が協力したため、うまくいっているのであり、このバランスや併存体制が壊れないようにしていただきたい、ということだ。民放連でこの問題について会員各社にアンケートを行い、その意見をふまえて調査研究会のヒアリングに応じた。受信料のあり方、NHKの肥大化、民業圧迫等、様々な問題があるが、受信料によって運営しているNHKと広告収入で成り立っている民放が共存共栄し、日本の放送がバランスよく成長するようにしてほしい、というのが我々の考えである。

記者: NHKの経営委員会のあり方についても言及しているが、この時期に踏み込んだ発言をしておきたいという思いはあったのか。
日枝会長: 今年1月、「平成16年〜18年度NHKビジョン」が発表された際、放送計画委員会で議論し、2月に同ビジョンに対する民放連見解を発表している。総務省の「デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会」に対しては、民放連がこれまで継続的に研究してきた意見を表明したものであり、急に出てきたものではない。

記者: 経営委員会は機能不全に陥っているとの指摘もある一方、NHKの労働組合海老沢会長に辞任要求を提出している。これについて感想はあるか。
日枝会長: 民放連会長として、他の組織の労使問題について答える立場にない。当事者の問題だと思う。いずれにしても、国民の信頼によって成り立っているのがNHKであり、一日も早く信頼を回復されるよう、それぞれが努力され解決していただきたいと思う。

記者: 会員社に対しアンケートを行った上で、デジタル時代の二元体制の健全な発展のために、NHKに対する考え方を述べていくとのことだったが、アンケートの集計状況や各社の回答の中に、地方での民業圧迫的な報告はあるかどうか聞きたい。
日枝会長: アンケートの概要は、次の会見の時にお話しできると思う。前回の会見で「プロジェクトX展」についての考え方を述べたが、アンケートでは、この件は問題であるとする意見が多数あった。また、地方自治体が行うイベントについて、NHKは民放と違って全国放送ができることから、自治体はNHKに委託してしまうことも多い。NHKは地方自治体のイベントで運営費や協賛金などを受け取るべきではない等、様々な意見が地方局から寄せられている。

記者: アテネ・オリンピックの女子マラソンのデジタル放送に関して、民放側とNHKに認識の違いがあるが、この問題が解決しないまま、次のオリンピックにのぞむのか。
日枝会長: この認識は平行線の状態である。ただし、このようなことでは今後JCとしてやっていけないという強い意志を、オリンピック放送等特別委員会がNHKに申し入れていると聞いている。

記者: NHKのBS放送による24時間ニュース計画が検討されているが、これの民業への影響についてどう考えるか。
日枝会長: 民放がそれを「民業圧迫」と考えている意味を理解していただきたい。民間放送の場合、地上局とBSは別会社であり、それぞれが1チャンネルだけの総合放送である。一方でNHKのBSは、総合放送と本来は難視解消の2チャンネルと定められている。にもかかわらず、なぜ24時間ニュースの実施が可能なのか、というのが、総務省の調査研究会で述べた民放連意見の趣旨である。自由競争というならば、NHKと民放に同じ条件を与えるべきということである。現状では、仮に民放が同じことをやろうとしても、BSと地上波は別会社である上に、それぞれ総合放送の免許であるからできない。競争の条件が全く違うことを踏まえて、問題があるのではないかと指摘していることを御理解いただきたい。何でも反対と言っているわけではない。

3.株式保有問題について

記者: 読売新聞社の株式名義問題が、地方の系列局へも広がりを見せているようだが、これについて、会長の率直な意見を伺いたい。
日枝会長: 事実関係を承知していないし、個々の会社の問題だ。総務省も事実関係をこれから調べるということであり、会長としてコメントする立場にない。一般論として言えることは、特に我々放送事業にとって法令順守は重要であり、そうした観点から、是正すべきものは是正していく必要があると思う。電波法、証券取引法東証の規則など様々な規律があるが、総合的に考えて判断しなければならないだろう。

記者: 民放連としては、当該局から意見を聴取するなど事実関係を調べるか。
日枝会長: 総務省が調べるとしており、その判断を待ちたいと思う。会員各社は独立した企業であり、各社が自ら点検して問題があれば直ちに是正していくべきだと思う。

4.視聴率調査不正操作問題への対応について

記者: 視聴率調査不正操作問題から1年が過ぎたが、視聴率の捉え方など変化はあったか。
日枝会長: 視聴率について各社が真剣に考えるようになったと言える。当時、視聴率のデータに問題があるという議論や、視聴率競争は弊害があり視聴質を併用すべきという意見があった。民放連では、「視聴率等のあり方に関する調査研究会」(座長:清水秀夫・BPO理事長)に視聴率のあり方に関する研究をしていただき、5月に答申を受け、(1)デジタル化時代に向けた視聴率のあり方の検討、(2)視聴率調査会社の監査の充実、(3)番組顕彰制度の充実、という3つの提言をいただいた。
 番組顕彰制度を充実させるという背景には、優れた番組を表彰、顕彰すれば、いい番組が視聴者の目に触れる機会が増え、自然に良い番組が増えてくるだろうという深い意味が込められていると考えている。この番組顕彰制度については、現在、民放連で検討しており、年内に答申の予定である。視聴率調査会社の監査については、日本広告主協会、日本広告業協会、ビデオリサーチ社とともに具体的方法を検討中である。
 視聴質調査については、その後日本テレビがテレビ番組視聴満足度調査を実施し、テレビ朝日がリサーチQデータ活用の研究を進めている。NHKも先日、携帯電話を用いて視聴質を含めた視聴情報システムを作ると発表した。この様に色々な角度から、調査の尺度を広げているのは、視聴率調査不正操作問題がきっかけになっていると思う。

記者: 本格的なデジタル時代を迎えるが、この1年を振り返り、将来像をどう考えるか。
日枝会長: 将来像については、民放連、主協、業協とで、研究しているところである。現在の延長で良いかなど、放送事業者だけではなくて、広告主、広告業にとっても非常に大事な問題であろう。個人的な見解であるが、インターネットや携帯端末でテレビを見ている人をどのように測るかということもある。また、BS放送も北京オリンピックの頃には大きな媒体になってくると思う。そうした時の視聴率調査のあり方を真剣に考えていくことになるだろう。

7.その他

記者: ハードディスクレコーダーが普及しており、"CMスキップ"は今より激しく行われると思うが、どうしたらCMを見てもらえるかを民放連で話し合っているか。
日枝会長: 民放連では、どういった問題があるかを営業委員会が中心となって研究している状況である。著作権の問題、今後の技術の進展など問題は多岐にわたると思う。放送局は権利者の許諾のもと、放映権を得て番組を放送している。さらにそれにはCMも含まれる、という考え方もあるだろう。そうした著作物を簡易に加工するような手段を講じて良いのかという議論もある。放送局は、放送番組の著作権著作隣接権を有しており、放送されたものと、録画されたものが同一であることを求めたい。したがって、録画する際に、機械がCMを自動的に飛ばし、放送内容と変えてしまうことは、いかがなものかという意見もある。いずれにせよ委員会で検討し議論を深めたい。

記者: 昨日、BPOの三委員長による「テレビ局に対する総務省の行政指導に関する声明」が発表されたが、これについて会長としてどのように考えるか。
日枝会長: BPOの見解については、我々も放送の自律性という点で重く受け止めている。総務省BPOの設立の経緯や背景、第三者機関の重要さを理解していると思う。要は、放送の自律が重要、ということだ。

記者: RMPが実施されたが、コピーワンスの効果をどのように見ているか。
日枝会長: コピーワンスの目的は、録画したものを自分で見ることは著作権上問題ないが、他人のためにダビングしたりしてはいけないということであり、効果を発揮していると思う。今後新RMPの運用問題も出てくるので、さらに色々な問題を総合的に考えなくてはいけないと思う。

記者: Yahoo!BBでは加入者に対し、テレビ番組をインターネットのサーバー上に録画して、どこに居ても観られるサービスを考えているようだが、どう思うか。
日枝会長: そのサービスの内容は詳しく承知していないが、一般論として、放送番組を個人で録画するのではなく家庭の外のサーバーに記録し、インターネット上で見ることができるようなサービスは、著作権法上問題があるかもしれない。