CX フジテレビ/『五嶋龍のオデッセイ第10回 龍,17歳 巣立ちの夏』

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10年にわたる五嶋龍の記録の最終回。
毎回見ていたわけではないが、このドキュメンタリーはいろいろなことを結果として提起してくれている。将来が約束された?人物の記録ではあれ、「家族」「家庭」という<場>やひとの成長とは何なのか?を自ずと問うている。
月刊文春のインタビューを見ると五嶋龍は、物理の世界を勉強するらしい。
彼が今、この世界をどういう視座で見ているのか?がこの番組から垣間見えなかったのは残念といえば残念。
10年という時間を「定点観測」することは、おそらく製作者の意図をはるかに超えるものを表現していくことなのだろう。「世界の10歳」の10年間の「定点観測」などと言う企画は山のように考えられ、その多くは実現しないままに葬り去れたことだろう。メディアが多様化し、だれでもどこでもという時代に入って、こういう映像の蓄積が近い将来、意味を持ってくることに気づく日がくることだろう。
この番組がなぜ10年で終了することになったかは、よく判らないが、取材する側もされる側にとっても、さまざまな困難もあったと想像される中、やりとげたことに素直に敬意を表したい気持ちだ。10年という歳月は短いようで、結構な長さだ。「国」がなくなったり、「親」を失ったり、年齢と関係なく自らの生命が終わることだってあるはずだ。
改めて、そういう番組をもっと見たいという気持ちにさせられた番組だった。
制作はテレビマンユニオン。企画・演出は大原れいこ氏。