ライブドアvsニッポン放送…審尋でヤリ手弁護士激突(読売新聞)

 ライブドアニッポン放送新株予約権発行の差し止めを求めた仮処分申請で、東京地裁は1日午後、双方の主張を聞く初めての審尋を開き、双方の代理人弁護士が主張を述べた。
 ライブドアの猪木(いぎ)俊宏弁護士は、ネット上で法律情報を提供する若手の“IT弁護士”。対するニッポン放送中村直人弁護士は、経済誌の企業法務弁護士ランキングで1位になった実績を持つ。2人の専門家の手腕が、仮処分の行方を左右することになりそうだ。

 審尋は午後1時半から、東京地裁3階にある民事8部の一室で開かれた。裁判官を前にしての訴えは約1時間半。ライブドア側は「新株予約権の発行は、ニッポン放送の経営陣の支配権維持が目的で不公正」と主張し、ニッポン放送側は「フジサンケイグループに残ることが企業価値を高める」と反論したと見られる。

 「勝てると思っている。既存の、古いものだけが勝つわけではない」。猪木弁護士はこの日、旧体制への挑戦とも取れる言葉を報道陣に残し、審尋に臨んだ。

 1998年に弁護士登録した若手ながら、企業合併を多く手がけた大手事務所で実績を積み、特に商法については、複数の共著書を出版するなど詳しい。自ら書き込み自由の簡易ホームページを開設。判例や法改正について、不特定のネット利用者と常に情報交換も行っている。元同僚の弁護士は、「頭が切れるし、企業法務の世界にいる割には、刑事訴訟のような勝負事への関心も強い」と話す。

 中村弁護士は、85年に弁護士登録した中堅だが、企業法務担当者のアンケートを基に作成される日経ビジネス誌の「人気弁護士ランキング」では常に上位にランクされ、2004年7月19日号ではトップに輝いた。法律雑誌のインタビューでは、「切った張ったの裁判が好き。裁判官の心証に合わせて最低限必要な証拠だけを出し、早く勝つことにやりがいを感じる」とも語っている。

 ニッポン放送が1994年に新株を発行した際、当時の筆頭株主鹿内宏明フジサンケイグループ元議長が差し止めを求めた仮処分申請では、ニッポン放送側を勝利に導いた。この裁判で鹿内元議長側の代理人を務めた河上和雄弁護士は、「商法の規定を形式的に判断したがる裁判所の傾向に、うまく対応していたように思えた」と振り返る。<<