日中韓文化コンテンツ産業フォーラム@六本木ヒルズ

経済産業省:資料(商務情報政策局文化情報関連産業課(青崎補佐/宇賀山)
概要1)全体会議(pdf)
概要2)副大臣級会議(pdf)
概要3)民間分科会ほか(pdf)
■DCAj
『 全体会議・出席者など 』
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毎日新聞 『コンテンツ産業:日中韓で協力合意 東アジア文化で団結』(2004/10/29)

日中韓3カ国はこのほど、文化コンテンツ産業フォーラムを東京で開催し、アニメ、ゲーム、映画などのコンテンツ分野で提携することを合意した。3カ国とも「21世紀はハード中心からコンテンツ中心になる」とコンテンツ振興に力を入れることで合意。「米国最大の輸出は自動車でなく大衆文化」(孟暁駟・中国文化副大臣)という欧米文化中心の現状に東洋文化で対抗できるか、3カ国の提携に期待がかかる。【柴沼均】
■■文化産業は最も協力できる分野
合意内容は(1)国際共同制作及び貿易投資の推進(2)人材育成・交流(3)国際市場相互協力(4)コンテンツデジタル化の促進(5)政府間会合の継続的実施−−の各項目
日本はアニメ、音楽、ゲーム漫画など双方向のコンテンツ受け入れ拡大のため、投資環境の整備、手続きの透明化にむけて協力するなどとしている。経済産業省の広実郁郎・文化情報関連産業課長は「文化を普及させる効果的手段は利潤という油を注ぐこと。コンテンツ制作事業者の大多数は中小企業であり、資金調達環境の整備が必要」と指摘する。
日本では今年に入り、コンテンツ産業を先端的な新産業分野と位置づけた「新産業創造戦略」の策定、コンテンツ促進法成立など力を入れだした。「新産業創造戦略」では2010年のコンテンツ産業市場規模を15兆円と設定し、海外へは1.5兆円を輸出するとしている。日本はアニメ、ゲームなどのコンテンツが世界的に普及しているほか、世界でも最先端のブロードバンド市場を持っていることから、デジタルシネマなど新しい分野のコンテンツの登場も見込まれる。実写映画やドラマなどは中国、韓国の勢いも目立つようになった。
経済産業省保坂三蔵副大臣は「中国の女子十二楽坊や韓国ドラマのブームなど、日本でも中国、韓国のコンテンツは人気がある。日本はコンテンツビジネスの振興を国家的な柱と位置づけ、海外展開の施策を行っている。日中韓の3カ国の連携を深めることで、コンテンツ産業の発展に結び付けたい」と話す。また、ベイ・ジョンシン韓国文化観光部次官は「中国は長い歴史と多様な文化をもとに、文化産業の力を潜在的に持っている。日本はアニメなどで圧倒的な地位を世界に占めた。3カ国はそれぞれ違った強みを持つとともに、東アジア文化という共通の資産がある。文化産業は3カ国が最もうまく協力できる分野」と期待を語った。
■■発展する中韓文化コンテンツ
実際、中韓文化コンテンツ産業はここ数年で急速に発達した。中国映画は米国などとの合作を積極的にはかった。コンテンツ産業に詳しい浜野保樹・東大教授によると、00年の中米合作映画「グリーンデスティニー」は米国の興収が1億ドルを初めて越えた外国映画。それまでは1000万ドルを越えた作品すら5本しかなかった。今年も「HERO」「LOVERS」「ヘブン・アンド・アース」などのヒットが相次いでいる。
中国文化部の王永章司長は03年の文化関連産業の従業員は1274万人に上り、「第十次5カ年計画」の中でも「国の文化産業政策を完全なものとし、発展を推進する必要がある」と明確に打ち出し、初めて国家発展戦略に組み込んだと胸を張る。かねてからコンテンツ発展の阻害要因と指摘されてきた海賊版など著作権問題についても「9月から1年程度をかけ、全国で著作権保護のスペシャルキャンペーンを実施。違法行為は厳しく取り締まるとともに、著作権所有者の合法的な利益を保護する」と明確に打ち出した。
一方、韓国でも日本を始め東南アジアや中国での「韓流ブーム」が起き、テレビドラマ、映画、オンラインゲームなどの海外展開が急速に行われている。韓国政府としてもIT、BT(バイオテクノロジー)などとともに、文化コンテンツをCT(カルチャー・テクノロジー)と国家の6大核心事業と位置づけ、CTの開発や海外進出の支援をバックアップしている。
■■民間レベルでも活発な議論
国レベルの協力だけでなく、フォーラムでは民間レベルのシンポジウムや分科会もおかれ、活発な議論を行った。「ヘブン・アンド・アース」のフー・ピン監督は「中国映画は計画の段階で、中国だけでなく国際市場を考えている。北米での成功は大きな誇り」と語った。さらに「日本も韓国もアジアの映画市場で成功していると思わない。アジアを大きな市場と考え、人材や投資で協力すればマーケットは開拓できる」と話していた。このほか、民間分科会ではアニメの国際共同制作推進、ゲームの違法コピー防止に向けた三カ国の共同監視機関の設置などの意見が出された。さらに、政府間協力体制の強化とともに、民間レベルの交流の多様化を重視する声も出ていた。

日本経済新聞/IT Biz『冬ソナ監督「デジタル化が進んでも精神だけはアナログ」―― 』(2004/10/25)

日本、中国、韓国のアニメ、映像、音楽などコンテンツ産業の専門家や政府関係者が集まり、意見交換を行う国際フォーラム「日中韓文化コンテンツ産業フォーラム」(主催:日本・経済産業省、中国・文化部、韓国・文化観光部)が25日、東京・六本木ヒルズで始まった。コンテンツ産業においても、アジア地域間の連携を通じて独創性あるソフト創出を目指したいという。初日は映画・テレビ業界を代表する監督らによるパネルディスカッションや各国大臣によるスピーチが行われた。パネルディスカッションでは、TVドラマ「冬のソナタ」監督のユン・ソクホ氏(韓国)や映画「ヘヴン・アンド・アース」監督のフー・ピン氏(中国)、アニメの実写映画「デビルマン」VFXスーパーバイザーの根岸誠氏(日本)をパネリストに迎え、デジタル化本番を迎えたアジア映像産業について議論を交わした。
ユン氏の「デジタル化が進んでも精神だけはアナログ」という言葉に代表されるように、作り手のイマジネーションがまず先にあって初めて、表現手段としてのデジタル技術が有効なものになるとの認識で一致した。しかし、デジタル化の進展状況は各国に隔たりがある。フー氏からは中国ではデジタル撮影はまだ難しいという指摘があった。フィルム映像とデジタル映像は審美的に異なるため違和感があり、中国では160の映画館しかデジタルプロジェクターを持っていないと言う。ユン氏もソニーのカメラなどが韓国にも入ってきているが、デジタル技術を用いてテレビ局が映画を撮るには限界があると話した。司会の浜野保樹東京大学大学院教授によると、中国の映画は国際映画祭などで評価が高く、芸術的な映画として知られていたが、最近は多くの人に見られ、収益を上げる映画へとシフトしている印象が強いという。司会者の指摘に対し、フー氏は、政府が市場を開放し、国際化への道を開いたためだと説明した。同氏が監督した「ヘブン・アンド・アース」も7カ国の協力を得て作った映画だ。中国で合作を作る場合、国際市場を考慮し、全世界の人に理解してもらうための共通点を探す視点が重要になってきているそうだ。欧米の会社からも意見を聞いた上で商業化している。アジアは重要な市場だがまだ成功しておらず、アジア全体を大きく1つの市場としてイメージすることが大切だと述べた。政府の役割については、規制緩和により競争力の強い映画を作りやすくなったが、国際共同制作の場合は政府や国営企業の直接的な協力がなく、残念だと述べた。
「冬ソナ」人気について聞かれ、ユン氏は暴力もセックスも宗教もすべて排し、人間にとって普遍的な情緒や純粋な愛をテーマにしているため、国を越えて支持されたのだと答えた。言葉を越えて理解される音や映像も重要視しているという。また、韓国のドラマはまず一部だけを放映し、反響を見ながら続きを作る手法を取ることもヒットの一因になったのではないかと話した。
日本のアニメの映像化について根岸氏は、アニメの世界は作者の想像した仮想世界であるため実写化が難しいとされてきたが、最近は技術的に可能になってきていると話した。現時点では、デジタルの撮影カメラも実用段階にあるのは日本メーカーのものだけではないかという。日本は世界に誇れるアニメの文化を持っており、もっと生かしていくのがデジタルを利用した映像のあり方だとした。
そのほか、政府各局の担当者は各国のコンテンツ産業への取り組みを紹介。政府の支援によるコンテンツ創作の基盤づくりとして、3国が共通して強調したのは国際的戦略の必要性、人材育成、法制の整備など。日本はブロードバンド市場の確立を意識した施策を打ち出し、中国が文化市場を規制緩和するなど、政府がコンテンツ分野を産業として盛り上げていこうという見通しが示された。